第55回SEEDTIME!
手術が必要となったが、拒否されている..
今回は熊谷先生からの発表でした。手術が必要だが本人の理解が得られない。
ご家族の中でも意見が割れ、手術を拒否しているのは本人の正しい意思ではない、という考えも出ている。
客観的にみても、正しい意思決定をできているとは思えない。主治医としても何が本人にとって良いことなのか全くわからず、困った症例、という相談でした。
【参加者からのコメント】
・難しすぎる!(大半の意見がコレ)
・こういう時は選択肢は2つ。ご家族の意見を優先するか、あくまで本人の意見を優先するか。どちらもメリットとデメリットがある。
・理想的なのは、「本人の意見を優先することを目標に家族と折り合いをつけること」。なかなか家族の意見と自分の(主治医としての)意見が合わないときは、「役割交換」、「アイ(I)メッセージ」を使う。
・役割交換:自分(主治医)が家族役、家族が本人役。そして今の状況を整理して想像してもらい、本人の立場になって今の状況をどう捉えるか考えてもらう。
・アイ(I)メッセージ:「私(I)はこう感じる、私(I)はこう思う」と、自分だったら、という意見を率直に述べる。
・家族へアプローチする場合、どのような結果になったとしても「罪悪感を残さない」ようにすることは忘れない。本人も家族も悩んだ末で結論を出す。それを「その考えはおかしい」というのはおかしい。
【全体コメント】
とても興味深く難しい症例でした。「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」というのもありますが、なかなかガイドラインのみでは消化できない問題も多いですね。大切なのは、「何がご本人の、そしてご家族のためなのか?」と常に考えることなのかなと思いました。
「自分の考え(エゴ)を押し付けない」ことも大事ですね。しっかり状況を理解していただき、そこから決めたことは、最大限尊重し、みんなが納得できる方針決定を目指していきましょう。
NEXT STEP
・方針決定につまずきがある時、「役割交換」、「アイ(I)メッセージ」を使ってみる。
・自分のエゴを押し付けない。相手のことは最大限尊重し、客観的にも納得できる方針を模索していく。