第49回SEEDTIME!
侵襲的な検査ではなく、診断的治療をお願いしたい
今回は和田先生からの発表でした。現病歴はふせますが、発熱症状が持続するため受診した方。他院所属の医療関係者で、自分でもある程度症状のことや診断について考えている様子。
こちらは普段どおり、必要な診察をし、必要そうな検査を行い、経過観察を行った。リンパ節腫脹があるためそこを切り口に調べていた。なかなか症状が良くならないため、侵襲的な検査を提案したが・・
「考えは分かったが、自分でもそれなりに調べてみて、こういう治療法もあるみたいなので、検査追加ではなく診断的治療をお願いしたいです」と言われた。自分としては検査無しにその治療法は避けたく、話を聞いてみたもののなかなか折り合いがつかず・・。
結果、別の病院へ紹介し治療について検討いただくことになったとのことでした。
医療従事者に対する診療で心がけていることはあるのか?という相談でした。
【参加者からのコメント】
・何故検査をしたくないのかを把握し、自分のプロフェッショナリズムとして診断的治療ができないことを伝えている。そういう点では責務をしっかり行っていると思う。
・自分も医療従事者の診療で困ったことがある。救急外来を受診されたが、結果、上級医に診療をお願いすることとなった。
・気をつけている点として、解釈モデルを必ず聴き出すようにしている。それが正しいのかどうかは別としても、知識がある分その解釈に対する議論は必要だと思っている。
・これは医療従事者に限ったことではないが、自分の考えにそぐわないことがあった場合、「何かしらの理由があるのだろう」と考え、しっかり理由を聴くようにしている。怒鳴ったりする医師などもいるが、自分の安全を保ちつつ、何がそうさせているのか?と考えを巡らせることが大事。
【全体コメント】
知識がある方への診療は、双方やりづらい面があると思います。それでもその方のために我々は医療サービスを提供する責任がありますから、双方話しやすいような環境を作ることが大切ですね。一方的に話してしまっては、相手が「いや、それは違う気がする・・」となっても話しづらいですし、相手の方針に乗っかりすぎても、医学的に妥当な選択が常にできるわけではないです。
これは医療従事者に限ったことではありません。今はネット情報が多いですから、自分で自分の症状を調べた上で受診される方も多いです。是非相手の思い、コンテクストにも配慮した診療アプローチを行いたいものです。
NEXT STEP
・診療をすすめる上でうまくいかないことがあっても、「何かしらの思いがあるのでは?」と常に考えを巡らせる